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2025年05月の自然動物園ぶろぐ
ショウジョウトキのたまご
バードハウスの鳥たちは、繁殖期真っ盛りです。
ワライカワセミ・オウギバト・クロツラヘラサギ・ショウジョウトキが
ヒナを育てるために営巣(巣を作ること)、抱卵(卵をあたためること)をしています。
今日はその中のショウジョウトキのお話をしたいと思います。
バードハウスにいるショウジョウトキは長年オス1羽でした。
これでは少し寂しいので、一昨年に繁殖目的のため多摩動物公園からメス2羽をお借りすることになりました。
メスが来て初めての春を迎えた昨年、なんとオスが
営巣を始めました。
そっと確認したところ、巣には卵が1つあり、懸命にあたためています!
順調な滑り出しだと思っていましたが、待てど暮らせど
孵化する様子はなく…
最後は卵を取って確認しましたが、無精卵(むせいらん:受精していない卵のこと)
であることが分かりました。
さて、今年の春、オスがまた営巣を始めました。
数日後、メスも巣の上にいます。
そして2羽とも巣の上で座っていることが多くなりました。
昨年と同様の行動に、繁殖の期待が高まる中、巣を確認してみると…
卵がありました。しかも2つ!
来る日も来る日も抱卵していた2羽でしたが、
昨年同様、孵化した様子は見られませんでした。
孵化予定から数日経ちましたが、全く動きがないので、
卵を引き上げることにしました。
回収した卵がこちら↓
ショウジョウトキの卵は模様があって、少し青味がかっています。
模様が濃いものと薄いものがありました。
中を割ってみると、昨年と同じでやはり無精卵でした。
どうりで孵化しないわけです。
毎日懸命に抱卵していたのに残念な結果です。
2年連続無精卵が続いたということで、来年はなにか工夫が必要かもしれません。
まだ次のクラッチ(産卵)があるかもしれないのでこれからどうなるかは
分かりませんが、今度こそはヒナの姿を見たいものです。
ちなみに卵がなくなったことで、餌の時もずっと巣から離れなかった
オスは今は一番に餌を食べにきます。
今のうちにエネルギーを蓄えて、次の繁殖に向けて準備をしてもらいたいと
思います。
(I)
2025年05月28日
毛刈りを行いました‼
毎年恒例のヒツジの毛刈りを5月4日に行いました。
ヒツジは羊毛を利用するために改良された家畜のため毛が生え変わらず、
そのままにしておくと毛はずっとのび続けてしまいます。
そのため暑くなる前のこの時期に動物園では毛刈りを行っています。
毛刈りをしているところを見ていると、
あっという間に刈ってしまうので簡単そうに見えますが、とても難しいため
今年もシェアラー(毛刈り職人)さんに来ていただきました。
毛刈りをしている姿はヒツジに技をかけているようにも見えますが、
この姿勢はヒツジに負担をかけず動かないように両足で押さえているのです。
そしてこの姿勢を「保定」といいます。
毛刈りをすることで日頃、毛で覆われていて見えづらい皮膚のハリや陰部・乳房などの状況を確認することもできるため、暑さ対策以外にも毛刈りは大切な役割があります。
毛を刈っていく順番は決まっており順番通りに刈っていくと
きれいに1枚につながり、絨毯のようになります。
動物園で飼育しているヒツジ5頭の毛刈りを行いましたが、
刈った毛が一番多かったのは「あんこ」で4.30kgありました。
毛刈り前の「あんこ」 ⇒ 毛刈り後
とっても身軽ですっきりしました‼
シェアラーさんに教わりながら職員も毛刈りを行ったのですが…
ヒツジが動かないように保定をしながら大きなバリカンを持ち、
かつヒツジにケガをしないように皮膚も押さえながら刈ることはとても大変で
シェアラーさんの凄さを改めて感じました。
刈った毛はきれいに洗ってイベントで使用したりしますが、
グッズになっているのはご存じですか?
下記の写真は刈った毛を使ったキーホルダーです。
黒い毛と白い毛の2種類あり、ひとつひとつ職員が巻いて作っている
オリジナルグッズです。
気になる方はぜひ、サービスセンターに見にきて下さい(^^)
(0)
2025年05月22日
身近な生き物『アズマヒキガエル』
みなさんは『ヒキガエル』ときいて、どのようなイメージをもちますか?
このブログを書いている飼育員のTは
昔はどこにでもいる生き物で、道路や民家、畑などいたるところにいた生き物だったと思い出します。
そんなヒキガエルですが、東日本に生息するヒキガエルの正式名を『アズマヒキガエル』といいます。
別名をイボガエル、ガマガエルと呼ばれることもあります。
このアズマヒキガエルですが、昔はどこにでもいるカエルでした。
昭和生まれの人のイメージだと、雨が降ると道路に出てきて車にひかれてしまう
かわいそうなカエルというイメージの方もいるかと思います。
そんなアズマヒキガエルですが、東京都では現在『準絶滅危惧種』
というカテゴリーに属しています。
準絶滅危惧種とは、今はまだ危機的な状況ではないが、このまま数が減っていくと
絶滅危惧種という一つ上のランクになってしまいます。
近県の千葉県ではすでに絶滅危惧種Ⅱ類というカテゴリーで、絶滅の危機が増大している種となり要保護生物になっています。
なぜ昔はたくさんいたのに現在は少なくなっているのかというと
ヒキガエルはオスが多く、メスが極端に少ない生き物です。
産卵期には1匹のメスに対して複数のオスが群がり、貴重なメスが圧迫死してしまうこともあります。
そして、一回の産卵で1500~8000個の卵を産みますが、そこからオタマジャクシになり、繁殖できる大きさになれるのが1割程度と言われています。
なんでそんなに卵を産むのに大人になれるのが少ないのかというと
卵の時にコイやフナなどの魚に食べられてしまいます。
無事オタマジャクシになれたとしても、泳ぐのが得意ではありません。そのため、同じ水中に生息している生き物(ザリガニやコイ、ヤゴなど)に食べられてしまいます。
ただ、一番の減少原因は生息環境の変化です。
昔は民家に池があったり、田んぼや用水路、畑があれば畑用の小さい池などがたくさんありましたが、現在は住居の建て替えや都市開発などでそれらの水域がどんどんなくなっています。
水域がなくなると卵が産めず、また親カエルは乾燥に強いとはいえコンクリート、アスファルトでは生きていけません。
そのような中、江戸川区行船公園は東京都でも貴重な生息場所、産卵場所になっています。春になるとたくさんの親カエルたちが公園内の池に集まり産卵します。
都内でも貴重な生息・産卵場所なので、ヒキガエルやオタマジャクシを見つけても持ち帰らず観察していただけたらと思います。
そんな貴重なヒキガエルのオタマジャクシからなんとか子供のカエルになれた個体がこのサイズです。
どうでしょうか?比較しやすいように1円玉と一緒に撮影しました。
こんなに小さい体で陸に上がり、生活をしていかなくてはいけない子供カエルです。
みなさんのイメージで小さい虫というとアリという方も多いとおもいますが
アリも子供カエルには大きくて食べられません。
ダニ類やショウジョウバエなどの極小の生き物が最初のエサです。
このような極小の生き物たちは土や水分が豊富にある生息環境が大切です。
現代は土のある環境が少なく、また、衛生管理もしっかりしているため、このような極小の生物が少なくなっています。
そういった小さい生き物たちを食べて、天敵から隠れ逃げ、大人になっていく子供ヒキガエルです。
最後に大人ヒキガエルと子供ヒキガエルの大きさ比べです。
どうでしょうか?こんな小さい体が数年かけてここまで大きくなります。
ここまで大きくなるために、沢山の試練を乗り越えた個体だけが大人のヒキガエルになれます。
江戸川区自然動物園では大人のアズマヒキガエルを展示しています。
東京都では準絶滅危惧種になっており、また夜行性の為、日中あまり見る機会がない
アズマヒキガエルを是非観察してみてくだい。
かわいい顔をしていますので!
T
2025年05月14日
ワライカワセミのヒナを移動しました!
4/12に孵化したワライカワセミのヒナを移動しました。
ワライカワセミは1シーズンに2回繁殖することがあるのですが、1回目に
孵化したヒナがいる状態では次のステップに進むことが難しくなります。
親鳥が子育てモードになっているからです。
もう一度カストルとミラだけの2羽にして、2回目の
繁殖に期待したいと思っています。
今回のヒナは一旦親鳥と離すことにしましたが、動物園が大事に育てて、
時々園内や当園のインスタグラムで姿を披露する予定です。
みなさまのご理解・ご協力をお願いいたします。
(I)
2025年05月01日